《MUMEI》
クリクリの実のトゲ
「カップも皿も無いけど、サンさんも呼んだ方がいいか?」


折りたたみ式の紙コップを組み立てながら、アルゴンが質問した。


「サンの分も用意できるのか?」

「砂糖煮なら」

「わかった。呼んでくるから、先に始めててくれ」


エアーが待ちきれそうも無いし


クーがクルクルの実を美味しそうに食べるところが早く見たいのか


エアーは先ほどから何度もクーを急かしていた。


「ごめんね」


謝るクーに軽く手を振り、コロナはクリクリの実の木へ向かった。


「おい、サン!」

「もう出発ですかー?」


高い木の頂上付近から、サンが相変わらず呑気な口調で答えた。


「違う! ちょっと降りてこい!」

「はい、…あ!」


慌てて降り始めたサンが、クリクリの木の実を一つ


丁度、コロナの方へ落とした。


コロナはそれを受け止めた。


「っ…」


クリクリの実は、栗と同じでトゲに包まれていた。


南国人のコロナの皮膚は厚いので、痛みは僅かな物だった。


「すみません!ありがとうございます!」

「いや」


そうして、サンとコロナは他の三人と合流した。

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