《MUMEI》

ガシッ!


だが即座に、
九条は俺の右手を掴み上げた。


そして今度は反対側の手で、
俺の胸倉を掴む。


「お前も痛い目に会いたいのか?」


互いの鼻がぶつかりそうな程に接近すると、
九条は顔を歪めた。


言わずとも、殺気がビンビン伝わって来る。


「やっぱりわざとなんやな。」


俺は視線を逸らさずに、
真っ直ぐ九条を見据えた。


本当はめちゃめちゃ怖かった。


けど、それを奴に悟られたく無かったんだ。


「だったらなんだ?」


「俺が先輩の仕返しをしたる。」


「は?

青二才のお前に何が出来るんだ?」


「青二才やない。

俺だって経験歴は長い。

……嘗めんな。」

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