《MUMEI》
どうしたら・・・
「ちょっとあんたこっち来なさい」
今まで黙っていた秋葉が、今宵の腕を掴んで教室の隅へ連れて行く。
「え?秋葉ちゃん!?」
「ちょっと雪村!!あんた何考えてんの!?」
「な、何でもないってば!!」
今宵は今教室の隅の方に押しやられている。
腕を秋葉に掴まれて。
「ホントに何にも無いってば!!」
「あんた何かろくでもないこと考えてないでしょうね?」
秋葉は上目使いで今宵をきつく睨む。
う、鋭い・・・・・・!!
秋葉のように整った顔であると、かなり迫力がある。
「な、何にも考えてないよ!!」
慌てて両手を振ると、秋葉は更にきつく睨む。
「あたしに遠慮してるんだったら許さないから」
この言葉を言い放つと、秋葉は自分の席に戻った。
今宵は、秋葉の姿を目で追うと、胸がチクンと痛んだ。
秋葉ちゃんはちゃんと私と向き合おうとしている。
私は、どうしたらいいのか分からずに俯いているだけなのに。
秋葉ちゃんからも、歩雪くんからも目を逸らして。
・・・・・・どうしたら真っ直ぐ見つめることができるんだろう。
どうしたら見つめても許されるんだろう。
この迷いを口に出せたら、変わるのだろうか。
でも、誰に・・・・・・?
誰に伝えたらいいのか分からない。
こんなことを伝えたら、またあの時みたいになっちゃうかもしれない。
あんな思いはもうイヤだよ・・・・・・。
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