《MUMEI》
逃走と追跡
振り返ったノームの気配に


その殺気に


逃げないと!


すぐに気付いたクーは、エアーの手を引いた。


「黙ってて」


小声で言うクーに、エアーは素直に頷いた。


今、クー達は、危険地帯用の装備を身につけている。


だから、クーとエアーの、区別はつかない。


アルゴンは、…ついてくるはず


クーはそれを信じて、エアーと共に、危険地帯に入った。


「おい? …クー?」


急に、どうしたんだ?


そう思いながらも、クーとエアーを追おうとしたアルゴンの腕を


ガシッ!


ノームが、掴んだ。


「ど、どうしたんだ…サン?」


何か、コエーぞ


驚くアルゴンに、ノームは真剣な表情で告げた。


「二人は私が追います。アルゴンさんは、コロナさんをお願いします」

「お、おう」


有無も言わさぬノームの雰囲気に、アルゴンは思わず頷いていた。


それに


急に暴走したクーも心配だったが


倒れているコロナも確かに心配だった。


アルゴンは、コロナが倒れた原因がノームだとは気付いていなかった。


「お願いします」


走り出したノームは


笑っていた。

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