《MUMEI》
なんとか…
会議はしばらく、連絡事項や行事についての話し合いが続いた。
その間も、羽田の頭はフル回転だ。

「それで……」

教頭が羽田を見た。

「羽田先生。今日、何か騒ぎがあったと聞いたんですが?」

「……え?」

羽田は考えに集中し過ぎて、教頭の話を聞いていなかった。

「……報告を」

教頭は少しムッとしたような表情でそう言った。

「あ、ああ、はい。すみません。えー、と」

「今朝のホームルーム、一人の男子生徒が突然暴れ出した。そうですよね?」

隣のクラスの担任が、確認するように羽田を見る。

「そ、そうです」

慌てて羽田は頷いた。

「で、原因はわかったんですか?」

「いや、その……今日はまだ彼も混乱しているようでしたので、後日、また改めて話を聞いてみようと思います」

「……まあ、いいでしょう」

教頭の言葉に、ホッと息を吐く。
なんとか乗り切った。

「くれぐれも下手な対応はしないでくださいよ」

「はい、分かってます」

頷く羽田を、少し見つめて教頭は次の話題へと移った。

そうは言ったものの、一体どのように報告すればいいのか……。

明日、凜に会ったら、とにかく説明してもらおうと、羽田は心に決めた。

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