《MUMEI》 デスクの脇には古びたベッドがひっそりと置かれ――…。 其所には、死期が間近に迫った老人が一人…… 静かな呼吸を繰り返しながら、頼りない目線を虚空に漂わせていた…。 老人「… ワ …… タ … リ …。」 ワタリ「はい…旦那様…。お呼びでしょうか…?」 老人が しゃ枯れた声で呼びかけると、壮年の執事が側に立ち控えた――…。 老人「…今日……来た……赤ん坊…の……名前だが……。」 ワタリ「はい…。お決まりでございますか?」 老人「…あ…ァ………。」 老人は静かに頷くと、かすれた声を搾り出すように告げる…。 老人「…あの子に……この名を…」 老人は震える腕を掲げると、指先で宙空にスペルをなぞった。 老人「… N a t e … R i v e r ……。」 そして、全てのアルファベットを書き終えると―――… その腕は、地球の重力に負けて、静かに崩れ落ちた――…。 : : ☆゚・:*:.。○。.:*:・゚☆゚・:*:.。○。 前へ |次へ |
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