《MUMEI》 団長の一言で、団員達は動きを止めた。 「ピエロは我がサーカス団に来ますよ。…必ずね」 ナイフに付いた血をベロッと舐めて、団長は笑った。 …そこで夢は終わった。 ところが。 朝起きて、わたしは腕の痛みに気付いた。 腕を上げて見て…心臓が止まるかと思った。 パジャマに血が滲んでいた。 恐る恐るパジャマを捲ると…まるでナイフで切られたような傷が、現れた。 「…っ!?」 声にならない悲鳴が、口から飛び出した。 何…何なの!? 何でこんな傷があるの? その日は学校を休んだ。 具合が悪いと母に言って、部屋の中に閉じこもっていた。 傷の手当はした。 けれど…いつケガをしたかなんて、覚えていない。 昨夜は疲れて、すぐに休んだハズだ。 なのにっ! わたしはため息をついた。 いろいろと疲れているのかもしれない。 しかし俯いた時、床の異変に気付いた。 拭ってはあるけど…血の跡がある。 血の跡は、クローゼットに続いている。 わたしは震えながらクローゼットに近付いて、開けた。 そこには― ピエロの衣装と化粧品、鎌が2本、あった。 前へ |次へ |
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