《MUMEI》

目の前が、絶望で真っ暗になった。

「何っ何でっ…どーして!?」

ガタガタと体が震える。

おかしい! 変だ! これじゃあまるでっ…

「ピエロは…わたし、なの?」

夜な夜な街の中を歩き、そして…人を殺してきた。

信じたくは無い!

誰かウソだって、言って!





―真相は、あのサーカス団の団長が知っている気がした。

何故そう思ったのかは分からない。

でも…確か今日が最終日。

わたしは夕闇に沈む街を見ながら、立ち上がった。

深夜、わたしはサーカス団に来ていた。

静まり返ったサーカス団の前、何故だか入り口は開いていた。

わたしは中に入った。

すると舞台には、団長が笑顔で立っていた。

「ようこそ! 我がサーカス団へ。いらっしゃってくれると思っていましたよ。ピエロ」

「なっんで…」

フラつきながら、わたしは舞台に近寄った。

「おや? お気付きではなかったのですか? あなたは理性と狂気を兼ね備えたお方。昼間は理性の顔が、そして夜には狂気の姿が現れるんですよ」

ああ…そうだった。

言われて気付けた。

昼間は真面目な女子高校生。

夜はおかしなピエロ。

それが、わたし。

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