《MUMEI》

………まぁ、今日我慢すれば、明日から休みだし。

真尋は心の中で自分を励まして、電車の揺れに身を任せていた。

そのとき。

腰の辺りに違和感を覚え、真尋はひとり、眉をひそめた。全神経を集中させて、ジッと身体を強張らせる。

《何か》が、彼の腰元を掴むように触れているのを感じた。

………まさか。

不意に、嫌な予感が胸をよぎる。

その《何か》は、真尋の腰から太股を撫でるように滑り落ちては、またゆっくりとのぼってくる。

何回かその動きを繰り返した後、《何か》は、一旦、股の付け根で動きを止め、今度はラウンドさせながら、ジリジリと股間の方へ移動してきた。

真尋は小さくビクリと身体を揺らす。それと共に、不快感が全身を駆け巡った。

《何か》は、真尋のその反応を楽しむかのように、ゆっくりとしかし確実に彼の敏感な部分に迫ってくる。

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