《MUMEI》

「やっと、このクラスの声が聞こえた気がしたんだ。黒板を書くときに聞こえる声や板書の音……皆と過ごす時間は人の人生に比べたらこれっぽっちしかないけど、時間いっぱいで知りたいし仲良くなりたい。
それと同じくらい教えたいこともいっぱいあるんだ。
俺は、皆に思いやりを知ってほしい。叩いたら痛いって知ってほしい。暴力は体を意外にも傷付けるって知ってほしい。差し延べた手の温かさを知ってほしい。
このクラスが大好きだから、哀しいのも辛いのも苦しいのも、俺が皆の気持ち抱えたいと思う。」

止まらない、言葉が涙と一緒に流れてしまう。
いつの間にか、泣いてるのは俺だけじゃなくなっていた。
律斗を苦しめるなんて、皆も本当はしたくないんだ。


「……上手に言葉が、返せないのは外国に住んでいたからです……、まだ学校に慣れないからってのもあります。
母さんは病気で亡くなりました。父さんは最近、飛行機事故で亡くなりましたその時に身につけている物は殆ど燃えてしまいました。
父さんはあまり物を持たない人で、携帯電話があったと分かった時、どうしても渡したくないと思ってしまいました……だって、父さんは帰ってこないから物くらい傍に置きたかった……。
それが皆によく思われなかったことも分かります。でも、その時はどうしても父さんと離れたくなかったんです。」

律斗は、皆に聞こえるようにゆっくり話してくれた。

律斗の目尻から涙がこぼれ落ちてゆく。


「律斗、言葉で表せれない感情を言う勇気を有難う。自己紹介のときは少し違ったことを言ったんだ、それは皆と仲良くなるため……だよな?」

俺は返事だけ求めるつもりで聞いた。


「……可哀相とか悲しいとか思うの、もう嫌だった。また、笑いたい。」

どんなに崩れても律斗は自分の言葉で話してくれた。



「ごめんなさい……」

一人、立ち上がって律斗に向かって謝った。
それに続いて一人一人、律斗に謝ってゆく。
気持ちの篭った謝罪や、じっくり話す生徒、各々の気持ちをぶつけてた。

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