《MUMEI》
拉致
バチッ!!


「…っ…!?」


スタンガン!?


突然、襲った強い衝撃に、クーは意識を失った。


ノームは既に、クーの、真後ろにいたのだ。


「クー!」

「おい、どうした!?」


エアーの悲鳴を聞いて、特殊チームの隊員は、すぐに駆け寄ろうとしたが


ビシッ!


「ぐっ!」


ノームが撃ったビームライフルの光線が、隊員の足を貫いた。


「クー!クー!」


エアーは倒れ込んだクーに何度も呼びかけたが、意識を失ったクーは反応しなかった。


そんなエアーに、ノームは近付き


「失礼します」


この場に似合わない、穏やかな口調で告げると


トン…


「?」

「な、に!?」


その場にうずくまる隊員の方に、エアーを


まるで、預けるように、軽く押した。


この少女が、ターゲットじゃないのか!?


隊員とエアーが呆然としていると


ノームは気絶したクーを抱えてどこかに走り去っていった。


「…っ! クー!」


クーの姿が見えなくなると、エアーはすぐに叫んだ。


既に体力の限界だったエアーは叫ぶ事しかできなかった。


その時


生まれて初めて、エアーは泣いていた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫