《MUMEI》
ゲームの内容
「…鬼ごっこだよ」

「鬼ごっこ?」

「あぁ。昔からある子供の遊び」

「子供の…」


幼い頃、父親と二人だけで生活していたクーは、子供の遊びをほとんど知らなかった。


「三分あげよう」


ノームは、指を三本立て、説明を続けた。


「君がスタートして三分は、俺はここから動かない。

そのかわり、三分後

俺は本気で追いかける。

捕まったら、君の負けだよ」


負け…


それは、クーの中では自分の死を意味していた。


そう思わせる事が


クーが死ぬ気で逃げるようにする事が


ノームの目的だった。


「ルールは、理解できたかい?」


ノームの問いかけに、クーは頷いた。


「では、始めようか」


ノームは地面に落ちていた小石を拾った。


「これが、地面に落ちたら、スタートだよ」


言いながら


無造作に、小石を地面に落とした。

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