《MUMEI》
ゲーム開始
ゲーム開始早々、クーは壁にぶつかっていた。


…どうしよう


クーの目の前には、岸壁があり、そこを登らなければ、すぐにノームに捕まってしまう。


何しろ


今既にノームはクーの数十センチ後ろにいるのだから。


「登らないのかい? せっかくロープもあるのに」


ノームが言う通り、岸壁には、一本のロープがあった。


しかし


それは、防護服を着たクーが使うには、不安なロープだった。


多分、ギリギリで、切れるな


そう判断したクーは、次の瞬間


防護服を脱ぎ始めた。


途中、後ろでノームが息を飲んだ気配が伝わってきたが


クーは構わず脱ぎ続け


室内と同じ、半袖短パンに、マスク無しという状態になった。


ただし、ゴーグルはつけたままだった。


空気屋は、基本的に心肺機能が丈夫で、発達した人間が多く


クーも例外では無かったのだ。


クーが普段一般人と同じようにマスクをしているのは、マスクは国が常用を義務化しているからで、以前マスク無しで歩いて補導された経験があるからだった。


ここが、濃い霧で覆われてて助かったな


クーの肌は一般人と同じでこの世界の強い紫外線には弱かった。

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