《MUMEI》
一分経過
思ったより、きつい


一分経過した時点でも、まだクーはロープを掴んでいた。


視界が悪いので、どのくらい進んだのか、クーにはわからなかったが


まだ、頂上らしき物は見えなかった。


このロープ、登りづらいし補助具もないし


普段、空気屋の仕事をしていて、似たような事を経験したクーでも、今回はかなり苦戦していた。


それは、ロープが、南国に生息する植物のツルを利用して作られた


安く、ややすべりやすい物で


普段使っている、手を放しても体を支えてくれる腰とロープを繋ぐ補助具も無く


純粋に、手の力だけで、登っているからだった。


そして、スタートしてから二分後。


「ハァ、ハァ…」


やっと、着いた


ようやく、クーは頂上に辿り着いた。


クーが登ったロープの先端は、頂上にあった大きな岩に結ばれていた。


「…」


その様子を見たクーは、少しだけ迷ったが


ロープをほどき


崖の下に、投げた。


「悪く、思わないでね」


そして、クーが走り出した時


既に、二分三十秒が経過していた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫