《MUMEI》 涙白は、側近の男から 聞かされた殿下の過 去に涙していた。 『…お前、花…』 『どうして、誰も殿 下を救ってあげない の?』 『え?』 『皆には、聞こえな いの?殿下の叫びが …ね、アナタは?殿 下を大切に思ってる んでしょう?あんな 事をさせないで…』 『だまれ!花ごとき に何が解る。従者は 主のする事に口出し するなど…』 『主が間違った道に 進もうとしたら、身 を呈しても止めるの が従者じゃないの? 僕は、そう思ってる けど』 白の言葉に、側近の 男は唇を噛み締めた 。 白には、殿下の心の 悲鳴が聞こえた様な 気がした。 …ボクヲ ダキシメテ… …ボクダケヲ ミテ… …ボクダケヲ アイシテ… …ネェ…カアサマ! でも、殿下、それを 夢視様に無理矢理押 し付けるのは…間違 った愛し方なんだと 僕は思うんだ。 前へ |次へ |
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