《MUMEI》
迎えに来た者
空港を出たキセノンは、タクシーでO2カンパニーに向かった。


本当に、…決心したのかしら


いまいち実感が無いまま、タクシーはO2カンパニーのメインゲートに到着した。


そこから、受付のあるロビーに移動するキセノンに、一般社員


特に男性社員は見とれていた。


しかし、キセノンは自分の容姿を自覚していたし、いつもの事なので、多くの視線は無視していた。


…が


「いらっしゃいませ。キセノン様」


営業スマイルを浮かべる受付の女性


その隣にいた男の視線は、無視できなかった。


危険


キセノンは、その冷たい


値踏みするような視線に、鳥肌が立った。


「今回は、こちらの者が、社長の元へご案内致します」

「はじめまして、キセノン様。

ノームと、申します」

「…見たこと無い、方ね」

「普段は会社におりませんので」

「ノームは、社長が外出する際に警備にあたるSPです」


受付の女性が説明の補足をした。


じゃあ、何で今はいるの?


「もうじき、オゾン様の誕生日ですから、警備が強化されているんです。

今年の誕生日は、特別なものになりますから」

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