《MUMEI》
ノームと移動
「…特別?」

「えぇ。それも含めて、社長からあなた方父子に、

お願いが、あるはずです。

さあ、参りましょう」


口調は優しいが、ノームの言葉には、逆らえない威圧感があった。


そして、キセノンはノームと共に歩き始めた。


到着したのは、社長室


だが


無人だった。


「どうして、誰も」


いないの?


質問しようとした時


ノームは社長室の本棚に近付いた。


そして、次の瞬間


ゴゴゴゴゴ


「…え?」


本棚が移動し、隠し部屋が現れた。


小さなその部屋には


地下へと続く階段があった。


「この下に、社長とドクターライトがおります」


行くしか、無いわよね


ゴクリと唾を飲み込み、キセノンは階段を下り始めた。


ゴゴゴゴゴ


本棚が再び元の位置に戻る音がした。


階段は思ったより少なく


「やぁ、来たね」


すぐに、キセノンは社長と対面した。


良かった


社長のすぐ側にいるライトが無事だった事に、キセノンは安堵しつつ


「こんにちは、社長」


社長に、頭を下げた。

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