《MUMEI》
ソラリアの最期
「よくぞ、決心して下さいました」


ライトは涙ぐみながら、社長を見つめ


ソラリアが眠るコールドスリープカプセルに近付いた。


美しいソラリアを社長がいつでも見れるようにと、カプセルは透明な素材で出来ていた。


「見ない方が、いいと思いますよ」


唯一透明ではない


赤いボタンに手をかけたライトは、社長を気遣った。


このボタンを押せば、ソラリアがどうなるか


ライトとキセノンは知っていたし


仕事柄、そういう場面を見る事もあった。


しかし、愛する妻の壮絶な最期を社長が見て


取り乱したり


決心が鈍ったりしたら…


「構わない。覚悟は出来ている」

「その言葉、信じますぞ」


ライトは勢いよく、赤いボタンを押した。


カプセル内に充満していた冷却用ガスが全て、無くなり


ソラリアが、目を開いた


次の瞬間


「ゴホッ!ゲホ!ゴホッ!」


部屋中に、ソラリアの咳き込む苦しそうな声が響き渡り


カプセルの内側は、ソラリアが吐いた血で、赤く染まっていった。


ソラリア、さん…っ


わかっていたキセノンでも目を反らすほど


ソラリアの最期は強烈だった。

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