《MUMEI》
二ノ宮
二ノ宮旭(にのみやあさひ)…。

こいつを初めて知ったのは中学1年の時。
僕が通っていた中学校は小中高の一貫校だった。中学になると公立の小学校から入ってくる生徒も少なくはない。二ノ宮もその一人だったが、その中でも特に目立っていた。ほっそりとした身体つきに白い肌、そして一番目立つのは真っ赤に染まった髪の毛。
入学して2日目、二ノ宮は上級生の目の敵になった。上級生だけじゃない、同級生も二ノ宮を目の敵にした。
だが直接手を下す奴はいなかった。
あんなに派手ななりをしていても先生から注意されたことはなかった。

それは二ノ宮が雲の上の存在だったから。

政治家の父と音楽家の母を持つ二ノ宮はエリート一家の長男だった。

でも僕には

そんなことどうでもよかった。

二ノ宮は目立ってはいたが周りに危害は加えていない。

というよりも、誰とも関わりを持とうとしていなかった。

僕自身関わろうとも思わなかった。

…夕べ、あの場所で奴の姿を見つけるまでは。

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