《MUMEI》 お姫さまとのキス「おっそーい!」 「はぁ…」 「アタシが呼んだらすぐ来てよ! じゃなきゃ、アンタにお給料払っている意味ないじゃない!」 別にアナタから貰っているワケじゃないんですけどね。 「すみません。以後気を付けます」 「そうしてちょーだい。…お茶」 「はい」 私は言われた通り、彼女の好きな緑茶を淹れる。 美しく賢い彼女は、ウチの高校の『お姫さま』。 有名私立校と名高いウチの学校の理事長の血縁者で、自身もすでに会社を経営している。 そんな彼女に仕えるのが私の仕事。 1年生の私が、2年生の彼女に仕えるのは中々難しい。 何せ教室が遠い。 彼女は特別教室がある棟の一室を占領していて、私の教室はその棟の真向かいにある。 ケータイで呼び出されても、どんなに急いでも5分はかかってしまうのだが…もう、慣れた。 「どうぞ」 「ありがと」 長く細い足を組み変え、彼女は緑茶を飲む。 「…うん、相変わらず良い味」 「ありがとうございます」 彼女に雇われている理由は、実は良く分かっていない。 元々奨学金を受けて入学してきた私は一般民。 次へ |
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