《MUMEI》

美しい彼女を見ながら、はじめて出会った時のことを思い出す。

確か入学式が終わって帰ろうと、校庭を歩いていたら彼女に声をかけられた。

一般民が入学してきたのが珍しいらしく、見に来たと言っていたな。

そこで10秒ほどじっと顔を見つめられて、仕える仕事をしないかと誘われた。

破格の給料の良さに、すぐさまOKした。

仕事内容は、彼女が呼び出したらすぐに駆けつけること。

まあ…結構タイヘンだ。

いきなり休日とか家に帰った後に呼び出されることもあるから。

でもそういう時は車で(高級車で)迎えに来てくれるしな(送ってもくれる)。

「ちょっと! 何ジロジロ見てんの? アタシの美しさに見惚れた?」

自身ありげに微笑む彼女は、本当にキレイ。

「はい、お美しいです」

「なっ…!」

すると彼女は顔を真っ赤にした。

「アンタって子は…。何でそう真顔で言えるのよ?」

「本当のことですから」

「だからぁ」

彼女はオタオタする。

その可愛い仕種に、思わず笑みが浮かぶ。

「今度は何笑ってるのよ!」

「あんまり可愛らしいので、つい」

「なーっ!」

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