《MUMEI》

周りの評判では、彼女は『キレイ』で『賢く』て『傲慢』。

でも可愛い一面もあるのだが、それは私だけの秘密。

「〜〜〜もうっ! アンタってヘンな子ね。アタシがどんだけワガママ言ってもヒかないし」

「はあ…。まあ別に今に始まったことではありませんし」

実は今、授業中。

言わば二人とも、サボりだ。

「…どんなワガママもきけるってぇの?」

「はい、ご命令とあらば」

不思議と彼女に命令されるのはキライじゃない。

それにワガママそうに見えて、ムリなことは決してさせない。

「じゃあ…命令よ」

「はい」

「アタシにキスしなさい」

そう言って艶やかに輝く唇を、指でさす。

「…はい?」

「アタシの命令なら利けるんでしょ? キスしてよ。もちろん唇にね」

「はあ…」

…まあこんな具合に、気まぐれなこともやる。

でもまあ…イヤ、ではないな。

「じゃあ失礼します」

「へっ?」

彼女の驚いた顔が間近に見えた。

顔を寄せれば当たり前、か。

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