《MUMEI》

「沙河谷コーチ?」


神道の片眉が吊り上がる。


「と言うと、
以前このクラブに在籍していたコーチのことか?」


神道はあからさまに嫌な顔をし、
眉間に皺(シワ)を寄せた。


「ここに来たってことは、
解禁されたわけだ。」


「ああ、そうみたいなんだ。」


沙河谷コーチは元プロ野球選手だったのだが、
父親のつてでこのクラブの第2監督を請け負った。



最初こそはは急所や短所を的確に指導してくれて、
それこそ頼もしいコーチだったのだが……。


ある事件を起こして、
謹慎処分となった。


選手時代は一時期強力なスラッガーとして活躍していたため、
メディアにその事件を大々的に発表されたのだ。


思い出しただけで、
頭が疼く。


出来ればあの人には2度と会いたく無かった。


あの時は、
ずっと空白なままでいい。

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