《MUMEI》
空白2
「どういうことなんだ、親父?」


「そう言うことだ。」


「いや、説明になってねぇから!」


日はすっかり沈み、
面会時間も残り僅かと迫った所で、
俺は親父の入院している病院へと転がり込んだ。


「だからどうして沙河谷コーチが来たんだよ?」


最上階までエレベーターも使わずに駆け上がった後、
一番奥の馬鹿でかい個室を開けた。


そうして今に至る。


「どうしてって言われてもな、
今日が解禁日だったんだからしょうがないだろ。」


親父は息を切らして物凄い剣幕でまくし立てる俺に動ずる事なく、
野球マガジンを片手に忙しく目を移動させている。


「しょうがなくねぇよ!

なんでよりによって沙河谷コーチなんだよ?

他に居ただろ?」

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