《MUMEI》
止まれない
「なんだ?こいつら、どっかから撃たれたのか?」
死体の横を通り抜けながらユウゴは周りを見た。
どこにも狙撃手らしき人影はない。
「走ってる人を、こんなピンポイントで撃てるものなの?」
「いや〜、無理だよな」

そうなると、いったい彼らは何故爆発が……。
しかも下半身のみ。

「あ!もしかして、あれか?」
「え、なに?」
「あれだよ、あいつらの足についてるやつ」
「……足枷?」
ユキナの声にユウゴは頷いた。

そうとしか考えられないだろう。

問題は、どういうきっかけで爆発するのかということ。

考えていると、ユキナが思い付いたように口を開いた。
「さっきから皆、言ってるよね。……止まれないって」
「つまり、止まると爆発?」
「ってことじゃない?さっきユウゴにぶつかった人も、転んで動きが止まった途端に爆発した感じだったし」
「……なるほど」
ユウゴは頷いた。

しかし、理由がわからない。

 配られた足枷全てが爆発するというわけではないだろう。
それなのになぜ、ここにこれだけの爆発足枷をつけた人たちが集まっていたのか。
そして、なぜ警備隊が追ってきているのか。

いくら考えてもさっぱりわからない。

とにかく、今はっきりしていることは、このままでは二人とも死ぬ確率が高いということだ。

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