《MUMEI》

「いたが、アイツから申し出があってな。」


「申し出?」


「ああ。

是非私に務めさせて下さい、とな。」


「それで親父はOKしたのか?」


「ああ。」


「なんで断らなかったんだよ!」


親父はページを捲る手を止めて、
こちらを向いた。


「謹慎処分でだいぶ懲りただろうと思ってな。」


「本当にそう思っているのか?

俺、アイツの目見たんだよ。


前と全く同じだった。」


親父はそこで一つため息をついた。


そして視線を雑誌に戻し、
飽きれたような口調で言う。


「例えそうだったとしてもだ。

お前はもう高校生だろう?

前みたいに何も出来ない訳じゃ無いんだ。」


「そうだけど!」


「話はそれだけか?」


「え?」


「そろそろ面会時間が終わる。

まだ文句があるなら明日出直して来い。」


俺は室内の壁時計に目を向けると舌打ちした。


「チッ、わーったよ!

また明日来るから。

なんか持って来て欲しいもんとかあるか?」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫