《MUMEI》

「そうだな……。

着替えと、あと馬刺頼む。」


「分かった。

着替えな。」


「おい、馬刺は……。」


「んなもんダメに決まってるだろ!」


俺はそう言って親父の病室を後にした。


ったく、病人なんだからちょっとは考えろっての!


そこではたと立ち止まった。


そういや、親父の病気ってなんだ?


思い立ったら即行動派な俺は、
迷わずナースステーションに向かった。


ナースステーションへたどり着くと、
看護婦さんたちは一斉にこちらを向いて目を見開いた。


中には顔をしかめる人までいる。


まあ泥だらけのユニフォームだから迷惑きまわりないよな。


しかも面会時間過ぎたし。


俺は申し訳ない気持ちで、
恐る恐る看護婦さんたちに質問した。


「あのーすみません。」

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