《MUMEI》

「ん〜〜……めんどいb」

「『めんどいb』じゃねぇっ!!」

「せやけど話すとごっつ長なるんやもん。いくらなんでもそんなにしゃべくっとる時間はないし」

「なら、要点だけかいつまんで解るように説明すればいいだろ!」

「えぇぇ〜〜〜っっ」

「『えぇぇ〜〜〜っっ』じゃない!」

「もぉ、しゃ〜ないなぁ…………。
 そしたらまず、ウチらを追い掛けて来た、アンタの言う所の化けモン。あれの説明から始めるで。

 アンタも多分気ぃ付いとるとは思うけど、あれは程度は低いけど正真正銘、昔ばなしからアホな漫画までチョロチョロ顔出ししてはテキトーなトコで殺られてく『鬼』や。あの手の欲望最優先の頭の悪そうなんは、瘴気の吹き溜まりみたいな場所に住み着いて、夜な夜な人を襲ってはその血肉を喰い散らかす、まぁ、人には厳しい生きモンやな。

 そんでもってウチはそういう人の世に害を為す、妖怪・変化・悪霊なんかを金を貰ってどうにかする『退治屋』を生業にしてる。
 で、今はあの鬼を退治する依頼を請けてて、七日掛けて仕込んだ陣地の中に閉じ込めて、さあ退治しよかと思った矢先に、アンタが勝手に紛れ込んできた。

 かいつまんで説明するとそんなトコや。納得した?」

「流れは解ったが、納得は出来ないな。
 話に出て来た『陣地』ってのはなんだ?どうして俺がそんなものに迷い込まなきゃなんないんだ?」

「ウチが陣地張ったんは、獲物が逃げ出さんようにする為と、邪魔が入らんようにする為。邪魔が入らんようにするってのは無理やったみたいやけどな。
 迷い込んだんは単にアンタの運が悪かったんとちゃうか?」

「運が悪い……?」

 事も無げに言ってのける麗の言動にカチンと来る。

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