《MUMEI》
ある意味勇気ある決断
「俺は何も聞かない事に、する」


先に決断したのはアルゴンだった。


「じゃあ、アタシの命令、聞くのね」

「…ああ」


ネオンが、頭がいいのも


クーの事を第一に考えて行動するのも


アルゴンは嫌というほど知っていた。


「やけに、今回は聞き分けがいいわね」

「お前より頭が悪いのも

冷静に行動できないのも

よく、わかっているからな」


言いながら、アルゴンの脳裏に宿ったのは


自分の無力さを痛感した、あの、南国での事件だった。


キセノンやネオンに改めて言われなくても、アルゴンは既に反省していたのだ。


「だから、俺をうまく使えよ、ネオン。

できる事なら何でもやるからな」

「いい度胸ね」


認めたくない自分を認め、自分が苦手な人間に


大切な人間を守りたいから、頭を下げる


そんなアルゴンを


ネオンは、多分初めて尊敬した。


それは、プライドの高い自分やキセノンには決してできない


ある意味、勇気ある決断だった。

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