《MUMEI》

わたしは箱に手を伸ばし、ホワイトチョコを取った。

そして口に入れると。

「…ねぇ」

「ん?」

思わず顔を上げると、彼女の顔が…間近にあった。

「なっ…んっ!」

避けるヒマなく、唇が重なった。

口の中のチョコが、溶けて彼女の口に移る。

「んんっ!」

…甘い。溶けそうなほど、熱くて甘い。

ホワイトチョコって、こんなに甘かったっけ?

ぼ〜っとした頭でそんなことを考えていると、彼女の唇が離れた。

「…うん。やっぱり甘くて美味しい♪」

「なっなっなななっ!」

口をパクパクさせていると、彼女はぎゅっと抱き着いてきた!

「くふ♪ 大好きだよ!」

「そっそれを早く言えっ!」

と言うか、言葉が先だろう! フツー!

「いやぁ、あんまり美味しそうにチョコ食べるからさ。それに何か誘われているっぽかったし?」

「わたしは普通に食べてただけだ! お前、バカだろ!」

「うん。アンタにメロメロなんだもん♪」

そう言ってまた抱き着いてくる。

わたしは恐る恐る彼女の背に腕を回した。

「…わたしだって…」

「うん?」

「わたしだって、お前のこと…」

ガシッと頭を掴み、間近で見つめた。

「大好きだ! バカっ!」

「んむっ!」

わたしをこんなにも積極的にさせるのは、お前だけなんだからな!

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