《MUMEI》

なのでわたしは今まで以上に、気配を消すことに集中しました。

家の中でも、学校にいる時でも、常に気配を消すことを考えていました。

そして校舎の中をくまなく調べ、見つかりにくい場所と隠れ方を研究しました。

そのおかげで、わたしはだんだんと見つかりにくくなりました。

最後に鬼さんが降参の声をあげるまで、隠れ続けることができるようになりました。

周りからも「かくれんぼ上手!」と言われるようになり、わたしはとっても嬉しかったです。

そんなある日、授業が終わると、先生達がまたかくれんぼをしようと言い出しました。

わたし達、生徒は大喜びで参加します。

隠れる所は校舎の中だけ。

鬼さんが降参と言い出すまでが、隠れる時間。

そうして鬼さん役の先生が、100を数え始めたので、わたし達は校舎の中に散らばりました。

わたしはつい最近見つけた、隠れ場所に駆け足で向かいます。

一階の階段裏には、物置部屋があります。

そこはあんまり使われていなくて、目立たない所です。

わたしは物置部屋に入り、奥に進みます。

そして1メートルの古びた本棚の前で立ち止まります。

本棚と言っても、本は入っていません。

もう古くてボロボロなので、ここに置かれているのです。

「んっしょ」

本棚は見かけによらず、ちょっと力を入れるだけで横にずれます。

すると本棚の後ろには、引き戸が現れます。

引き戸を開け、中に入ります。

中にもイロイロと古い物が置かれていました。

でも部屋いっぱいで、わたしのように子供じゃなければ中には入れません。

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