《MUMEI》 ガッタン ゴトゴトッ 「…ずいぶん騒いでいるのね」 わたしは響き渡る声や音を聞きながら、再びまぶたを閉じました。 そして目を覚ましていた時、何と1時間も寝ちゃっていました。 「ヤバッ! 怒られちゃう!」 慌てて引き戸を開けて、本棚を動かしました。 急いでいても、引き戸を閉めて、本棚を戻すことは忘れません。 見つからなければ、またここに隠れるつもりだからです。 隠れた痕跡を残さないことも、かくれんぼでは大事なことです。 物を動かしたので、洋服が少し汚れました。 服を叩いて、髪型も直します。 手鏡で大丈夫なことを確認して、わたしは物置部屋の扉に手をかけました。 扉を開けると、すでに夕日が窓から差し込んでいました。 廊下は真っ赤に染まっています。 「あちゃっ。みんな、もう帰っちゃったかな?」 それでも職員室に行けば、先生達がいるはずです。 一言謝りに行かないと、先生達はいつまでも探していることでしょう。 前にもあったことです。 1人の生徒が隠れている所でうっかり寝てしまい、先生達どころか、村の大人達まで探しに回ったのです。 …結局、体育倉庫のマットの間に寝ているところを発見され、大事にはならなかったのですが…。 それでも怒られていました。 なので全校生徒達は腕時計か、あるいは携帯電話を持つようになりました。 制限時間を確認する為に。 なのにわたしとしたことが…! 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |