《MUMEI》

…ところが耳を澄ませて気付いたのですが、物音一つしません。

さっきまで、アレほど騒いでいたのに…。

わたしを呼ぶ声も聞こえません。

もしかして、全員外に行っちゃったんでしょうか?

わたしは慌てて廊下に飛び出しました。

そして…見てしまいました。

廊下に広がる赤は、夕日の色ではありませんでした。

真っ赤な、血の色。

「うぐっ…!」

むせ返るような血の匂いに気付き、頭の中がガンガン鳴り響きます。

「みっみんな…」

血の跡をたどり、わたしは一つの教室の前に来ました。

ゆっくりと扉を開くと…。

そこには重なり合った、生徒達と先生達の死体がありました。

「っ!?」

白目をむき、舌を出し、体からおびただしいほどの血を流し続ける彼等は、すでに人間ではありませんでした。

ただの、

死体、

です。

それを理解したところで、わたしは弾かれたように廊下を走り出しました!

「いっいやっ、いやぁああ!」

叫びながらも走ると、廊下にはまだまだ血が広がっていました。

先生に報告しようと、二階に上がります。

ところが二階にも血の跡や、見知った人達の死体があります。

「せっ先生!」

ガラッと職員室の引き戸を開けると、そこには…

死体が、

いっぱい、

ありました。

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