《MUMEI》

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そのまま簡単な話をする内に、そのおばさんは、風子の遠い親戚であるのだろうと、何となく察しがついた。

「ちょうど高校生くらいの頃かしらね…風子ちゃんたら、会う度にどんどんきれいになって…ビックリしたのを覚えているわ」

穏やかな声で、昔を懐かしむように語るおばさんに、俺達は曖昧に笑った。

そんなことを言われても、出会う以前の風子の姿を見たことがなかったので、どのくらい変わったのかなど、いまいちピンとこないというのが正直なところだった。

「風子さんは、みんなに好かれていました。とても美人で、心の優しい人だったから…」

晶子のコメントに俺も頷く。

「どんなときもニコニコしてて、明るくて、思いやりがあって…本当に自慢の友人でした…」

俺が続けておばさんにそう告げると、彼女は「そう…」と、感慨深く頷いた。

「みんなに好かれて…こんなに素敵なお友達がいて…風子ちゃんは本当に幸せだったのね…」

そこまで呟くと、

おばさんは「…でも」と低い声で唸り、

急に、表情に暗い影を落とした。



「どうして、こんなことに…」



―――自分から『幸せ』を全部、投げ出すようなバカな真似を…。



『どうして』



おばさんの消え入りそうな声に、俺達は口をつぐんだ。言葉が出て来なかった。

胸が、苦しさとか悲しみでギリギリと疼く。

『どうして』

もう一度、心の中で繰り返した。


『どうして、風子は死んだのか』


その理由は、俺と晶子の中で、ハッキリしている。



俺は俯いた。手元には、ほとんど手をつけていない食事が整然と並んでいる。


…風子。


心の中で、亡き親友の名を何度も何度も呟きながら、俺は、きつく瞼を閉じた。


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