《MUMEI》

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高校卒業後の進路は、3人ともバラバラだった。

俺は地元の4年制大学に、晶子は都内の短大に、

そして風子は、

都内の語学専門学校へそれぞれ進学することになった。

俺達の地元は東京に隣接しているので、都内への通学が可能な圏内だったのだが、今までのようにこのメンバーで、毎日会うことが出来なくなるのは、少し寂しかった。

卒業式の後の打ち上げで、俺がそんなことを口にすると、晶子と風子は顔を見合わせて大笑いした。

「なにそれ、女の子みたい!」

華やいだ声で笑ったそのときの風子の眩しい笑顔を、今日まで忘れたことはない。

その日俺達は、色んな話をした。話題のほとんどは、勿論、長くて短い3年間の高校生活のこと。

「色々あったけど楽しかったな…」

染々呟いた俺に、晶子も「うん」と頷いた。

少しの沈黙が流れた後、唐突に、風子が「あのね…」と、言った。


「今まで内緒にしてたけど、実は、先輩とヨリを戻したの」


予想外のカミングアウトに、俺と晶子はたまげた。

『先輩』?

それってまさか…。

「あの藤川先輩?」

俺が考えていたことを、晶子が先に口にした。風子ははにかみながら頷く。

「3年に進級してからかな…急に先輩から連絡があって、『もう一度やり直したい』って言われたの」

『3年に進級してから』というと、つまり1年くらい経っている計算になる。

そんな前から…という驚きと、風子は別れてからずっと藤川先輩のことを想い続けていたのか…という彼女の一途さに、俺達はただただ圧倒されていた。


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