《MUMEI》
殺気
「街で絡まれたときとか、うざい先輩を脅すのに使ってたんだが、こんな時に役に立つとはな。」
指で銃をくるくると回す。実はこれ銀行強盗などで多用され発売禁止になっている品で手に入れるのに苦労した。
「…アンタたち…。妙に町で恐れられていると思ったらそんなことしてたの…。」
「僕はいやだったのに…。これのおかげで僕たちヤクザの構成員だって噂されてるんだよ…。」
タカが嘆く。
「ワハハ。だけど、これで騙せるのも限りがあるけどな。実銃の発射音はこんなもんじゃない。もっと体の芯が震えるような……。」
――どくん
殺気。
蛇に睨まれたカエルという慣用句がある。これは実際におこる現象で蛇とカエルが相対したとき、カエルは例え生きてる内に一度も蛇に遭遇した事がなくてもその姿を恐怖し身動きが取れなくなる。つまりそれは、遺伝子にきざまれた防衛本能の作用なのだ。
前へ
|次へ
作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ
携帯小説の
(C)無銘文庫