《MUMEI》
大晦日のおまけ
「お客様、どうかされましたか?」

店長が目敏く俺達を見つけ、そう言ってきた。

「すみません、こいつダチなんです、ちょっと気分良くないみたいで…ちょっと休憩室使わせて下さい」

「それは構わないけど、ね、君大丈夫?」

真依は俺にしがみついたままで無言。
顔なんて絶対上げない。
「すみません、ちょっと休ませれば大丈夫ですから」




休憩室とは名ばかりの物置に入り、俺は扉を閉めた。



「まことぉ……、ンッ…、ン…」


腰を抱き、後頭部に手を回し唇を合わせた。

真依も俺に抱きついてきて、何度も何度も角度を変えながら深い口づけを交わす。

そしていつの間にか俺達は床に崩れ、俺は真依の上に乗っかっていた。

「ダチなの?俺誠のダチ?」
「…馬鹿、真依は恋人だよ、恋人だって紹介し直そうか?」

「……、…うん」

真依は俺の首に腕を回し、俺の名前を何度も繰り返す。

よっぽど寂しい想いさせたんだな。
ずっと会えなかったもんな。
こんな事なら店に食べにおいでって言えばよかった。

いや、間一日無理にでも休み取るんだった。

違う、寝る時間ゼロにしたって会いに行くんだった。

こんなにも愛しい存在を寂しさで泣かせてしまった。

いっぱいキスをしながら、抱き合っていたら真依は段々落ちついてきた。

小さな泣き声が止まったと思い顔を覗き込んだら、クシャって笑ってきた。



あんまり可愛いくて、俺はいつもこれに弱くて…



また俺は真依の唇を塞いだ。











END

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