《MUMEI》
制裁
ロイズは、目の前の
光景に息を呑んだ。

地中から伸びた緑色
の物体、それは植物
の弦の様なモノ。

その弦が殿下に絡み
付き、空中に動けな
くしている。

『う、ぐあぁっ』

どうやら、弦に締め
付けられているらし
い殿下の叫び声。


『で、殿下!』

ロイズは、腰の剣を
抜き、殿下に絡む弦
に切り付けた。

しかし、何度切り付
けても傷一つ残らな
い。

ガツ!ガシャァン…
ついには、弦に剣を
弾き飛ばされてしま
った。


『無駄ですよ、ロイ
ズ!』
突然、声がした。
ロイズは、声の方へ
視線を向ける。


『アナタは…』

白の傍らに立つ男、
それは研究所所長の
ユウリ・クラウド。

ユウリは、白を庇う
様にして空中のレイ
ノルド殿下を赤い瞳
で睨みつけていた。


『全く酷い事をしま
すね、レイノルド殿
下。私と博士の大切
な子を傷付けて…。
同じ痛みをたっぷり
と味合わせてあげま
すからね。』

ユウリが、そう告げ
て後、弦が殿下の四
肢を大の字になる様
に引っ張り、その背
中に数本の弦が鞭の
様にしなり打ち付け
た。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫