《MUMEI》
ソラリアの細胞
「ソラリアの細胞を、何処で手に入れた?」


それは、社長が一番気になっていた事だった。


グリーン博士とソラリアは生前も


コールドスリープ状態の時も、面識が無い。


なのに、何故


「さ、細胞マニアの部下がいまして!」

「…そうか」


『細胞マニア』


その一言で、社長は納得した。


細胞マニアとは、その名の通り、細胞に異常な執着を持つ人間の事で


彼等は、気になる細胞を


時に、本人と直接交渉して


多額の報酬と引き替えに、入手していた。


ソラリアは、田舎に住む、やや貧しい家庭の娘で


社長と知り合う前


家計を助ける為に、細胞を売った事があると、言っていた事があった。


ということは、あのクローンは、ソラリアがまだ田舎にいた頃の


健康な頃の、クローンという事か。


ソラリアが病に犯されたのは、社長と結婚し、田舎から都会に出てきたからだった。


そこで初めて社長はソラリアの肺が、人より弱い事を知ったが


ソラリアを手放したくない社長は、酸素開発に力を入れ、ソラリアを田舎に帰そうとはしなかった。


「ありがとう、グリーン博士。最期に、良いことを教えてくれて」

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