《MUMEI》
グリーン博士の最期
笑顔で社長が言った後


ノームが放ったビームが


正確に、グリーン博士の心臓を貫いた。


それは一瞬の出来事で


グリーン博士は悲鳴を上げる暇も無く、息絶えた。


「片付けはどうしますか?」

「明日は忙しいし、これはまだ必要だから、明後日だな」


社長が言う『これ』は、オゾンの部屋に新鮮な空気を送る為の専用装置だった。


「じきにこれも、必要無くなる。

行くぞ、ノーム」

「はい」


二人は、グリーン博士の遺体には目もくれず、隠し通路を通って戻っていった。


グリーン博士は、天涯孤独で、その性格から、親しい人間は誰もいなかった。


実際、地下室に籠るようになっても


連絡先を教えていないにも関わらず、誰からも問い合わせや、捜索願いは無かった。


それは、グリーン博士の部下三名も同じだった。


…最も、彼等三人は、研究を進めていくうちに、仲間意識が芽生え、仲良くなったようだが。


つまり、社長は


必要無くなれば、いつでもこうして簡単に処分できるような人間を選んでいたのだった。

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