《MUMEI》
作られた運命
社長がこの


グリーン博士のいる地下室に続く隠し通路を利用するのは


今回が、二回目だった。


一回目は


エアーが失敗作とわかり、倒れたグリーン博士が部下によって医務室に運ばれ


エアーが、地下室に一人だけになった時だった。


その時、ノームは本社にはおらず


社長は、一人でエアーと接触した。


グリーン博士がエアーを作った事は、社長は隠しカメラを通して知っていた。


知っていながら、止めなかった。


それは、社長が


美しく


愛らしく


無邪気で


いつも、笑顔な


ソラリアの


見た目『だけ』を愛していたからだった。


だから


エアーが、社長が愛した笑顔と無邪気さを手にした瞬間


社長の中で、ただ眠るソラリアは


いらない人間


になったのだった。


それにしても、こうも、うまくいくとは


社長は、無表情なエアーを、雨の日に、わざと


クーが、拾いやすい場所に捨てたのだ。


もしかしたら、クーなら


双子の姉が死んで不安定だったネオンを、まともに戻したという少年なら


エアーの笑顔も引き出すのでは無いかと


そう、賭けてみたのだった。

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