《MUMEI》 殺され死・者(ころされし・もの)「えっ…? うそっ…」 それは一本の電話から始まりました。 まだ夕飯を食べている時、電話が鳴り、出たのはわたしの母でした。 母は電話の内容を聞き、真っ青な顔色でわたし達を見ました。 そして… 「殺された…殺されてしまった…」 壊れたテープレコーダーのように母は繰り返しました。 「どっどうしたの? お母さん!」 わたしは母に駆け寄り、その肩を掴みました。 「あのコがっ…殺されてしまった!」 ―母が次に言葉を紡いだ声の意味は、わたしの血縁者の女の子の名前でした。 「うそっ…!?」 その場にいた父に兄、そして弟も言葉をなくしました。 そしてわたしも。 血縁者達が、女の子の家に集まりました。 一戸建ての家はまだ新しく、住人が亡くなると言うのはまだ早過ぎる気がします。 「どうなるんだろうねぇ」 「どうなるって、そりゃあ…」 「やめろよ。今言うことじゃないだろ?」 十数人の血縁者達は、複雑な表情でボソボソと話し合っています。 女の子の両親は今、警察の人に呼ばれていません。 母が部屋に入って来た時、一気に静かになりました。 すでに黒い着物に身を包んだ母は、険しい表情で血縁者達の顔を見回しました。 「…警察の方から、事情は聞きました」 そして重い語りが始まりました。 次へ |
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