《MUMEI》

女の子はまだ高校2年の17歳でした。

優しく温和なコで、性格は可愛かったけれど、見掛けは美人という、ちょっと変わった女の子だったんです。

でも…そんな女の子だから、多くの人に、強く好かれもしました。

女の子には1年前からストーカーがいました。

何でも女の子が前に、そのストーカーがケガしているのを手当てしたことから、不幸が始まったようです。

ストーカーは女の子が女神に見えたんでしょう。

そうしてほぼ毎日、何かしら女の子に好意を見せるも、ストーカー扱いされ、逆上し、女の子を殺してしまったんです。

「幸いにもその青年はすぐに警察に捕まったそうですけど…」

「どこが幸いだよ」

兄が重々しい口調で、母の言葉を遮りました。

「犯人は女の子を『殺した』んだろ? ただで済むワケねーだろ」

「兄さん!」

あんまりな言葉に、わたしは兄の腕を引っ張りました。

しかし兄は強い目で、わたしをにらみ返します。

「…こっちだって、被害者だっ!」

忌々しそうに呟く兄は、腕を振り解き、そっぽを向いてしまいました。

「…とりあえず、お葬式は明日にでもすぐ行います。マスコミなどは警察の方が抑えてくれるそうですから、みなさんもくれぐれも…」

「分かっているよ」

「身内のことだからな」

血縁者達は心得たように頷き合います。

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