《MUMEI》
事件
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しばらくすると、風子の雰囲気がガラリと変わった。どこか、派手になった気がした。


化粧が濃くなり、言葉遣いも荒くなった。酒を飲みながら大口を開けて豪快に笑ったり、公衆では恥ずかしくてあまり口に出来ないような話題にも平気な顔をして話したり、

あまりの変わり振りに、思わず唖然としてしまった程だ。


晶子によると、どうやら藤川先輩の他に付き合っている男がいるらしい。
しかも、相手は学校やバイト先などの不特定多数で、飽きたらすぐに違う男に乗り換えているようだ、と。

言われてみれば、3人で会っている時などに、風子の携帯に突然電話がかかってきたかと思ったら、「用事が出来た」とか何とか言って、そのまま先に帰ってしまうことが増えていた。


元々美人だった彼女が、適当な遊び相手を見つけるのはとても簡単なことだっただろう。

驚くくらいの人数と同時に付き合っていると得意気に話す風子に、俺はいつも違和感を覚えていた。

どこか、無理をしているような気がして。


「いい加減にしとけよ。藤川先輩にバレたら、どうすんだよ?」

見兼ねて、風子に苦言を呈したら、彼女は俺をバカにするように鼻で笑って答えた。


「このくらい、大した事じゃないでしょう?先輩も他の人も、みんな遊びだって、ちゃんと割り切っているんだから」


事も無げに、ケラケラ笑って言った風子。

目の前にいる彼女は、本当にあの風子なのだろうかと、俺は漠然と不安に思った。


彼女の危うい、スタンスに。


そうは言っても、当の風子に何を言ってもこんなふうに聞く耳を持たないし、本人もそれなりに楽しんでいる以上、自分にはどうすることも出来ないと、半ば諦めていた。


それから、みんな自分のことで忙しかったり、風子の父親が亡くなったこともあって、なかなか会うことが出来ないいまま、時間だけが流れていった。



―――数年後、


俺達がそれぞれ社会人になってからのこと。



新しい毎日に忙殺されていつしか、その『不安』すら俺の頭から消えかけてきた頃、




あの『事件』が、起こった。




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