《MUMEI》

母様も夢視も…

ーー皆、僕から離れ
て行ってしまうーー

…オイテイカナイデ…
…ヒトリニシナイデ…

ーー誰かのモノにな
る位ならーー


レイノルド殿下は、
立ち上がろうと床に
手をついた。

カチリと指先に当た
るモノ、それは先程
弦に弾かれたロイズ
の剣。


ーーそうだ、僕の傍
から離れなくすれば
いいんだーー


それは、一瞬の出来
事。殿下は、剣を握
り締め、走る夢視に
切り掛かっていった



『夢視、危ない!』

遅れて部屋に入った
ショウの叫び声。


ザシュッ!!
剣が何か切り付ける
音がして辺りに響く
うめき声。

『うぐっ…』


『…なっ、んで…お
前が…』

殿下がうろたえ剣を
落とす。


夢視とレイノルド殿
下の間に入り、剣の
刃に掛かったのは…
ロイズだった。


ロイズは肩口から左
腕にかけて切られて
おり、赤い血が滴り
落ちていた。


『…レイノルド殿下
もう、お止め下さい
…』

ロイズは、殿下へと
近寄り、呆然とする
殿下を力の限り抱き
しめた。

〈…殿下を助けたい
なら、思い切り抱き
しめてあげて…〉

それは、あの時白が
囁いた行為。

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