《MUMEI》
社長の嘘
社長は言葉を失うネオンの両親に、優しく言い聞かせるように、語り続けた。


ソラリアを愛するあまり、クローン作成をグリーン博士に依頼した事


オリジナルのままでは、病弱になってしまうから、植物遺伝子を注入した事


完成したエアーと、グリーン博士に内緒で二人で街に出たが、途中、雨が激しくなり


社長がタクシーを呼んでいる間に、気付いたら、エアーがいなくなっていた事


そこに、不自然な部分は全く無かった。


しかし、それはあくまでも、社長の話だけを聞いた場合で


「私達は、ネオンから、エアーという少女を守ってほしいと

あなたや、グリーン博士からも守ってほしいと、頼まれています」

「普段私達を頼らないあの子の望みを、私達は叶えるつもりです」


ネオンの両親は、きっぱりと社長を拒絶した。


「失礼ながら… 屋敷の人間も、皆同じ気持ちで、覚悟はできております」


部屋にいる執事も、屋敷の人間代表として、意見を述べた。


スピーカーを通して


社長の大きなため息が、聞こえた。


そして、社長は再び


穏やかな口調で、語り始めた。

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