《MUMEI》 . 手の震えが止まらない。俺は両手をきつく握った。ガタガタと震えが大きくなる。 喉がひきつり、ヒューヒューと変な音が鳴り始めた。呼吸が上手く出来なくて、苦しい。 胸を押し潰されるような痛みを感じて、瞼を閉じた。それと同時に、一気に涙が溢れ出す。 そのまま前屈みの状態で、俺は泣いた。小さな子供のように、大声をあげて、泣き続けた。 辛かった。 独りで悩み、苦しんで死んでいった風子のことを思うと、胸が張り裂けてしまいそうだった。 ―――どうして。 嗚咽の合間から、俺は、呟いた。 神様、 どうして風子は死ななければならなかった? どうして彼女に、こんなにも酷い仕打ちを与えた? 彼女は、ただ、真っ直ぐだった。 それ故に、歪んだ世界に絶望し、己の過ちを許せず、死を選んだ。 「…ふうこ…ふうこ」 何度も何度も、彼女の名前を呟きながら、咽び泣いた。 もう二度と、その返事が返ってこないことは、判っていたけれど。 グラウンドから、生徒達の朗らかな笑い声が虚しく谺していた。 . 前へ |次へ |
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