《MUMEI》
憂鬱な朝
「あ〜あ。学校行きづらいなぁ・・・・・・」

今宵は玄関に立ち、溜息をついた。

琴吹くん達にも顔あわせづらいけど、歩雪くんにはもっとあわせづらいよ・・・・・・。

「あら、今宵。今日も早く行くの?」

振り返ると心配そうな表情を浮かべた加奈子が立っていた。

「うん。また早めに行かなきゃいけないから」

「そう。気をつけてね」

「じゃあ行ってきます!!」

今宵は加奈子に笑いかけると、家を出た。

「暖かくなってきたなぁ〜」

今宵は空を見ると呟く。

五月晴れの真っ青な空の上には雲一つもない。

ってこんなことしてたら幾ら早く出ても歩雪くん来ちゃうよ!!

空を見上げていた顔を慌てて下げ、学校へ向かうべく足を踏み出した。

が、その足が止まった。

え・・・・・・。

「歩雪くん・・・・・・」

歩雪が自分の家、今宵の家の隣の外壁にもたれていた。

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