《MUMEI》
クーとエアーのその後
クーはエアーを愛している。


エアーも、クーを愛している。


二人は、ずっと一緒にいる。


その光景は、最初の数年間は、周囲を和ませた。


しかし


クーが青年になっても


エアーは、少女のままだった。


エアーに注入された植物遺伝子は、樹齢数百年の大樹のものだと気付いたのは


クーの肉体的成長に、人工肺がついていかず


拒絶反応を起こし始めた頃だった。


最初は、すぐに異変に気付いたキセノンにより、新たな人工肺が移植された。


キセノンは、こういう時の事を考えて


父親の罪を償う意味でも


クーの隣に引っ越してきたのだった。


しかし、この人工肺は、数年毎に交換する必要がある事がわかり


交換手術は、クーの寿命を確実に、少しずつ削っていった。


それは、誰にも


エアーにも


どうしようもない事だった。


ただ


エアーのおかげで、クーは、車椅子や寝たきりになる事は


ほとんど、無かった。

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