《MUMEI》
クーとエアーのその後2
クーが中年と呼ばれる年齢と見た目になっても


エアーは少女のままだった。


それでも


クーはエアーを愛している。


エアーもクーを愛している。


二人は、ずっと、一緒にいる。


「…結婚、しないのか?」


アルゴンがそう言ったのは


アルゴンがキセノンと結婚し


子供が出来てからだった。


「バカアルゴン!」

「痛て!」


キセノンはアルゴンを、部屋の隅まで引きずり


小声で、説明した。


「クーちゃんはね

不能、なの」

「は?」

「アンタと違って性的欲求も、子孫を残す能力も、無いの。

だから、結婚は

出来ないのよ」


この国は


子供を作れない男女の結婚を認めていなかった。


昔は愛し合う男女なら、子供がいなくても結婚を認めていたが


子供を作らない夫婦が急増した時代があり


国の未来を案じた政府が、『結婚は子供を作れる男女のみ』とし


『国が定めた年までに子供ができなかったら離婚』としてしまったのだった。


だから


クーとエアーは、愛し合いながらも


肉体的な繋がりはなく


結婚はしなかった。

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